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皮ふ科が扱う主な疾患

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は増悪と軽快を繰り返す掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因をもつ、と定義されています。
アトピー素因とは、家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれが、あるいは複数の疾患)、またはIgE抗体を産生しやすい体質のことです。
アトピー性皮膚炎では、異物の侵入などから体を守る、皮膚最外層の角層バリア機能の低下があり、様々な刺激を受けやすくなっています。角層バリア機能の低下によりアレルゲンが皮膚へ侵入しやすくなり、過剰な免疫応答によりアレルギー反応を引き起こします。表皮角化細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球、マスト細胞、好酸球など様々は炎症細胞が活性化して、皮膚炎、かゆみを引き起こします。
乳幼児期には顔面・頭部に始まり、首、わき、ひじ、ひざうら、全身に皮疹が拡がります。
幼児期・学童期には首、わき、ひじ、ひざうら、股、手首、足首などの皮疹が典型的になります。
思春期・成人期には顔、首、胸、背中などの上半身に皮疹が強くなる傾向があります。顔面の皮疹が主な顔面型、痒みの強い硬い丘疹が多発する痒疹型、全身に赤みの強い紅皮症型などもあります。
幼少時にアトピー性皮膚炎と診断された患者さんでも自然寛解することが多く、16歳までに90%が自然寛解するという報告もあります。一方で、成人になってから発症するタイプもあり、金属アレルギーが関与している例もあります。

治療

1)ステロイド外用剤

アトピー性皮膚炎治療の基本となる薬剤であり、ガイドラインでもエビデンスレベルAで推奨されています。病変の性状、部位によって強さや剤型を使い分け、適切な量を適切な回数塗布して皮疹を寛解させることが重要です。その後は、週に2回程度の外用で安定した状態を維持できるようプロアクティブ療法を継続していきます。ステロイド外用剤は即効性があり、皮膚炎やかゆみを強力に抑制します。しかし、アトピー性皮膚炎ではアレルゲンに対する特異的IgE抗体を持つことが多く、皮膚からアレルゲンが侵入すると再び炎症反応はおこります。皮膚からのアレルゲン侵入を阻止するためには、皮膚バリア機能を維持することが重要で、プロアクティブ療法を継続することが重要です。

2)タクロリムス(プロトピック®軟膏)

炎症性T細胞のシグナル伝達系を抑制することで、皮膚炎を抑える薬剤です。ステロイドより分子量が大きく、正常な皮膚からは吸収されにくいです。ステロイドで皮疹をある程度抑えてから、顔面やバリア機能の低下した部位の皮膚炎を長期間寛解維持するのに有効です。ステロイドと異なり抑制する細胞の選択制が高いため、皮膚萎縮や毛細血管拡張などの副作用が出現しにくいです。

3)デルゴシチニブ(コレクチム®軟膏)

皮膚における種々の炎症細胞のシグナル伝達に重要なヤヌスキナーゼ(JAK1,2,3、Tyk2)を阻害し(汎JAK阻害)、JAK/STAT経路を遮断することにより皮膚炎やかゆみを抑制します。サイトカインによるフィラグリン発現低下を抑制し、バリア機能低下を抑制します。

4)抗ヒスタミン薬(飲み薬)

アトピー性皮膚炎はかゆみがQOLを低下させ、また掻くことにより皮膚バリア機能を低下させ、さらなる皮膚炎を引き起こすという悪循環に陥りやすいです(かゆみの悪循環)。このため、かゆみのコントロールは重要です。抗ヒスタミン薬のみでは皮膚炎を治すことは困難ですが、ステロイドや他の外用剤と併用して治療することで、早期に寛解維持することができます。

5)デュピルマブ(デュピクセント®皮下注)

アトピー性皮膚炎における2型炎症ではインターロイキン4、13のシグナルが重要ですが、デュピクセント®はこれらの受容体に結合してシグナル伝達を抑制することで、皮膚炎を抑えます。通常6ヶ月以上のしっかりとしたステロイド外用剤などによる治療でも難治な15歳以上の患者に適応があります。2週間に1回皮下注する薬剤で、クリニックあるいは自宅で自己注射で治療することもできます。

6)紫外線療法

当院ではセラビームを用いて、ナローバンドUVB波のなかでも308nmをピークとする高輝度のエキシマライトを数分間、かゆみがひどい部分に週1~2回程度照射することにより、かゆみを抑制します。

その他

経口のJAK阻害薬であるバリシチニブ(オルミエント®)やウパダシチニブ(リンヴォック®)などの新規薬剤による治療が必要な場合は、近隣の総合病院に紹介させていただきます。

アレルギー検査

1)血清IgE値

アトピー性皮膚炎ではダニ、ハウスダスト、花粉、カビ、食物など複数のアレルゲンに感作されていることが多く、これらに対する血清特異的IgE値が高値であることが多いです。血清総IgE値は長期的な皮膚炎のコントロールの指標に用いられます。

2)血清TARC値

皮膚炎が起こると、表皮角化細胞、ランゲルハンス細胞、その他の炎症細胞から産生され、アトピー性皮膚炎の病勢を鋭敏に反映します。現在の治療法が合っているかどうかの評価にも有効です。

3)血清SCCA2値

上皮細胞から産生され、アトピー性皮膚炎の病勢を鋭敏に反映します。血清TARC値と異なり、年齢による基準値の変動がないので、小児(15歳以下)で有効です。

4)パッチテスト

アトピー性皮膚炎の増悪の原因として、かぶれ(薬剤、衣類、環境抗原などによる)を合併していることも多いです。かぶれの原因を検索するための検査です。かぶれの項を参照ください。

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