皮ふ科が扱う主な疾患
痒疹
痒疹とは強い痒みを伴う孤立性の丘疹または結節で、発症後数週間以上経過するものです。皮疹のタイプにより、大きく結節性痒疹と多型慢性痒疹に分けられます。結節性痒疹は主として四肢に比較的均一な暗褐色の丘疹、結節が多発し、多形慢性痒疹は中高年の側腹部、腰臀部に新旧の丘疹が多発するのが特徴です。

原因
虫刺さされ、糖尿病、腎不全、肝疾患、痛風、血液疾患、内臓疾患、妊娠、偏食、慢性化膿性病巣などがあげられますが、病態と発症機序は不明です。そう痒が特に強く、皮疹が広範囲に及ぶ例、治療に抵抗性である例ではデルマドローム(内臓疾患などの全身疾患に伴い生じる皮膚症状)として痒疹が出現している可能性もあります。アトピー性皮膚炎でも痒疹型の皮疹を生じることがあります。
検査
痒疹に特徴的な一般臨床検査所見はなく、診断は各症例の病歴、年齢を踏まえて痒疹各病型に特徴的な臨床症状に基づいて行います。
軽度好酸球が上昇することがあります。IgEは正常か軽度上昇することがあり、著明に上昇している場合は、アトピー性皮膚炎の痒疹型を除外する必要があります。
難治例では内臓疾患が関連している可能性もあるため、全身検索を勧めます。他疾患を鑑別するために皮膚生検が必要なこともあります。
治療
虫刺の回避、掻破の防止、基礎疾患の治療が大切です。
外用療法として、強めのステロイド軟膏、タクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏塗布、ステロイドテープ剤の貼付も有効です。メントール含有クリームも有効です。
内服薬として、抗ヒスタミン薬、マクロライド系抗生剤、漢方薬の有効例があります。慢性腎疾患や肝疾患ではナルフラフィン塩酸塩(レミッチ)が有効です。難治例ではステロイド内服、シクロスポリン内服が有効です。
紫外線療法
ナローバンドUVB、エキシマライト照射などが奏功することもあります。
液体窒素冷凍療法
結節型には液体窒素による皮疹部の冷凍療法が有効なことがあります。
ステロイド局注や筋注も有効です。