にきび・にきび痕
思春期から20代前半に好発する脂腺性毛包における慢性炎症性疾患です。面皰(コメド)に始まり、赤みをおびたぶつぶつ(赤ニキビ)、中央に黄白色の膿をもつ膿疱、さらに深部に進行してしこり(硬結)や嚢腫を形成することもあります。進行したニキビは瘢痕を残すことがあります。
炎症による赤みや瘢痕、そして色素沈着として見て取ることができるため、見た目の問題からお肌の悩みの種になる方は少なくありません。
にきびが治まった後に残る赤みは、時間と共に徐々に薄れていきますが、色素が沈着して茶色く変色した部分は、なかなか消えにくく、特に皮膚の表面にはっきりと瘢痕が残ってしまった場合は真皮層の再生が必要になり、その治療には長い時間が必要となります。
にきびの原因
にきびの原因はホルモンバランス、皮脂、角化異常、細菌感染、遺伝、食事、ストレス、化粧品など多くの因子が複雑に発症に関与するといわれています。
- 皮脂の過剰分泌:
思春期になるとアンドロゲン(男性ホルモン)が皮脂をつくる脂腺の活動を活発化させます。皮脂が多いと毛包の常在菌であるアクネ菌(ニキビ菌)が増殖し、皮脂を分解して遊離脂肪酸に変えます。 - 毛穴の詰まり:
遊離脂肪酸の刺激で毛漏斗部上皮の異常角化が起こり、毛孔が閉塞することで面皰(コメド)が形成されます。 - 炎症:
ニキビ菌と遊離脂肪酸が炎症を起こす物質を産生し、白血球が毛包を破壊して炎症が増悪します。 - ストレス:
ストレスはホルモンバランスを乱すことから、間接的ににきびの原因となることがあります。また、ストレスが引き起こす睡眠不足や食生活の乱れも、肌の健康を害しにきびを引き起こします。 - 化粧品の影響:
化粧品、特にファンデーションは、肌の凹凸を隠す目的で微細な粒子を多く含む成分を使用します。また、肌への適合性を高めるために、固形成分や油分も多く配合されます。これらの成分が、肌の毛穴を塞いでしまうことがあります。超微粒子の原料が毛穴を閉塞させ、固形成分や油分が毛穴に深く入り込んでしまうと、毛穴は詰まり、皮脂の滞留が生じます。これがニキビの一因となる可能性があります。さらに、メイクを落とさずに就寝すると、これらの化粧品が肌に長時間塗布された状態が続きます。このような状況は、皮脂の滞留を引き起こしやすく、結果としてニキビの発生を促進します。適切なメイク落としやスキンケアを行うことが、肌の健康を保つ上で重要となります。 - 遺伝:
にきびには遺伝的な要素も関わっています。親がにきびに悩んでいた場合、子供も同じようににきびに悩む可能性が高まります。
にきびの治療と予防法
にきびの治療には、毛穴の詰まりを解消し、アクネ菌の増殖を制御する外用薬が役立ちます。
具体的には過酸化ベンゾイル(ベピオゲル®)、アダパレン(ディフェリン®)、過酸化ベンゾイルとアダパレンの配合剤(エピデュオ®)、過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンの配合剤(デュアック®)などが挙げられます。これらの薬品は、にきびの状態・段階によって選択されます。
また、抗菌薬の内服薬や漢方薬の併用も、治療効果を高めるために有効である場合があるため、患者さんと相談しながら治療方法を選択していきます。
そして、にきび予防に欠かせないのが、スキンケアです。適切な洗顔方法、メイク落としの習慣、そして適度な保湿は、にきびを防ぐ上で有効な手段であり、とても重要です。
また外側からのケアだけでなく、内側からのアプローチも重要です。バランスの良い食事、規則正しい生活スタイルなどに配慮することで、にきびの発生を抑制することができます。このような内面と外面からのアプローチが、にきびとにきび跡への対策となります。