掌蹠膿疱症の症状
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、手のひらや足のうらに水ぶくれや膿を伴ったぶつぶつ(無菌性膿疱)が多発する病気です。この症状が繰り返し起こり、膿疱とともに赤み、かさかさとした皮膚、ひび割れ、爪の変形が生じることもあります。また、手のひらや足のうら以外でも、足の甲、すね、ひざ、おしり、ひじなどに症状が見られることがあります(掌蹠外病変)。
前胸部や他の関節部で痛みを伴う場合もあり、掌蹠膿疱症性骨関節炎と呼ばれます。掌蹠膿疱症は、無菌性でウイルスや細菌による感染ではありせんが、水虫など他疾患との鑑別に真菌検査や皮膚生検が必要になることがあります。
掌蹠膿疱症の原因
原因は未だに不明ですが、喫煙(約8割が喫煙者)、扁桃炎、虫歯などの感染病巣が関与している可能性があります。禁煙のみで治癒する例は少ないですが、喫煙を続けていると治療反応性が悪いので、禁煙は必要です。
感染病巣は無症状の潜在性炎症のことが多く、気づかれにくいですが、上気道炎時に皮膚症状や骨関節症状の悪化が明らかな場合は臨床経過から関連性が推測でき、感染病巣治療後に皮膚や骨関節症状が徐々に改善する例があります。日本では歯性病巣の治療や扁桃摘出術による有効率はそれぞれ70-90%, 60-90%と報告されており、とくに非喫煙者で有効率が高いといわれています。
金属アレルギーの関与については不明で、金属パッチテスト陽性であっても金属除去治療のみで掌蹠膿疱症が軽快した例は少なく、同時に行われる歯性病巣の治療が影響していると考えられています。
掌蹠膿疱症の治療
病巣感染など、病気を悪化させる要因がある場合はそれらを取り除くことを優先します。これらの増悪因子がみつからない場合や、悪化因子の治療中に平行して対症療法を行ないます。
1.悪化因子の除去
- 禁煙指導
- 歯性病巣の治療
- 病巣扁桃が強く疑われる重症例では扁桃摘出術
- 副鼻腔炎,歯性副鼻腔炎の治療を各科に依頼する
2.対症療法
対症療法として、外用療法や紫外線療法の局所療法、内服療法を併用します。
- 外用療法:ステロイド外用薬,活性化ビタミン D3 外用薬 など
- 紫外線療法
- 内服療法:ビオチン、エトレチナート(ビタミンA誘導体)など
- 免疫抑制効果を有する全身療法:シクロスポリン 、生物学製剤など
皮膚や骨関節炎の症状が重症で QOL を大きく障害する場合は,症状緩和のための積極的な治療が必要です。
光線治療(エキシマライト治療)とは
紫外線の免疫抑制作用を利用して、過剰反応を起こしている皮膚の症状を沈静化させる治療法です。外用剤治療で効果が上がりにくい場合は、この治療法を検討します。
紫外線のUVBのうち、より治療効果が高い波長領域の308nmの紫外線(エキシマライト)を照射することで、さまざまな皮膚疾患の症状の改善が期待できます。